6 かささぎの〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】

6 かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞふけにける 【中納言家持】

読み方(かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける)

出展「新古今和歌集」

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意味「6 かささぎの〜」

かささぎの群れが翼を広げて橋をかけた、という言い伝えがある天の川。宮中の橋に霜が降りて、そのかささぎの橋のように真っ白になっているのをみると、ずいぶん夜も更けたと思うことだなぁ。

作者:中納言家持とは?

中納言家持(ちゅうなごんやかもち)とは、日本最古の歌集である「万葉集」に最も多く歌がのっている大伴家持のことです。

三十六歌仙のひとりで、「万葉集」の編集にもたずさわった奈良時代末期の貴族です。

柿本人麻呂と山部赤人のふたりを「山柿(さんし)」と名付けたのも大伴家持だそうです。

解説「6 かささぎの〜」

この歌は七夕に関する中国の伝説をもとに作られた歌です。

七夕というと、天の川で離れ離れになっている織姫と彦星が、一年に一度だけ会うことができる夜、と日本で有名な話ですよね。

中国の伝説では、七夕の夜、かささぎが翼を並べて天の川に橋をかける、その橋を渡って織姫(織女星)が牽牛星(彦星)のもとへいく、という伝説があります。

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当時の日本人が「かささぎ」と聞くと、まずイメージするのは「橋」です。ですが、次の「霜の白きをみれば」で「霜は天上にはないから、もしかしたら地上のこと?」と思わされます。地上のどの橋か、というと、天皇が夜に奥さんに会いにいくための渡り廊下を指しています。

天皇がいる宮中を天上に重ねる、ということは以前からあったため、天の川の橋と渡り廊下はイメージとしても重なりやすかったようです。

「御橋(みはし)」に霜がおりて真っ白になっているので、今夜は女の人に会いに行けない。そして、ひとりの夜がふけていく、という様子を詠んだ歌ですね。

この歌には、天と地、夏の七夕と冬の霜、というはっきりとした対比が二つあるのも特徴的です。

他にも「かささぎの渡せる橋」とは、宮中の階段を指すという説と、天の川にかけられた橋を指すという説の2つがあります。

かささぎとは?

かささぎは、からすよりも少し小さめの砦、羽の付け根とおなかが白色で、他は黒い鳥です。大伴家持のこの時代は、まだかささぎは日本にはいませんでした。

そのため、この歌は、中納言家持(大伴家持)が中国の書物を読んで学んだ知識を参考にしてつくった歌といわれています。

実際のかささぎを見たことがなかった家持は、中国の伝説にでてくるかささぎを「真っ白な鳥」と想像していたようです。

「か」から始まる二字決まりの歌は2首ある

百人一首の歌の中で、上の句が「か」から始まる二字決まりの歌は2首あります。「6 かささぎの」と「51 かくとだに」のふたつです。

・かささぎの ー しろきをみれば
・かくとだに ー さしもしらじな

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