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情緒不安定な適応障害と子どもの発達障害の関連について

精神疾患である適応障害の中には、情緒や行為の障害をともなうタイプがあり、大人だけではなく子どもも発症するケースがあります。

また、このタイプの適応障害は発達障害とも関連があります。

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どんな関連があるのか、もう少し詳しくみていきましょう。

情緒と行為を混合したタイプの適応障害

適応障害は大人だけでなく、子どもも適応障害になることがあります。

その場合、行為障害や情緒障害を伴うタイプの適応障害であることが多いようです。

情緒の障害とは、抑うつ、不安など情緒面の症状で気持ちが不安定で生活に支障が出る状態のことで、行為の障害とは、規則違反や反社会的な行為のことになります。

いずれに場合も、似た症状を持つ病気との区別が必要になります。

発症のきっかけになったストレスに、周囲が気づくことが大切です、

適応障害と発達障害の関連について

子どもが学校に適応できない原因として、発達障害があります。

自閉症やアスペルガー症候群、ADHDやLD(学習障害)などの発達障害があると、クラスメイトとのコミュニケーションがうまくとれなかったり、勉強についていけなくなったりします。

そうした「うまくいかなさ」が根底にあるために情緒障害になり、そして適応障害になることが多いようです。

発達障害を一次障害とするなら、適応障害は二次的な障害となります。

パニックを起こして泣き叫んだり、ものを投げて暴れたりするのは「情緒と行為の混合した障害をともなう適応障害」ともいえますが、ADHDの衝動性によるものかもしれません。

根底にある発達障害に対処しないと、適応障害も改善しないでしょう。

文部科学省による「情緒障害」とは

子どもの抑うつや不安は、情緒障害とされています。

症状として、心理的な要因で何も話さなくなる「かん黙」や「不登校」などとしてあらわれることもあります。

この「情緒障害」は病名ではなく、文部科学省が規定している名称です、

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文部科学省による「情緒障害」とは、情緒のあらわれ方が偏っていたり、そのあらわれ方が激しかったりする状態を、自分の意志ではコントロールできないことが持続し、学校生活や社会生活に支障となる状態となっています。

行為の障害を伴うタイプの適応障害

行為の障害とは、万引きや飲酒運転、友人や家族への暴力(DV)、無断欠勤、公共施設への落書きなどがあります。

行為障害自体が診断基準(DSM)に記載されている病名ですが、適応障害を伴うことがあります。

家庭環境の問題から子どもの心が不安定になり、違法行為をおこしやすいと言われています。

また、大人でも、職場に馴染めないがやめられない、やけになり、飲酒運転、解雇に至るケースもあります。

行為の障害をと伴うタイプの適応障害は、子どもや青年にもみられ「自分が何かとんでもない事件や暴力沙汰をおこしていまいそうに感じる」という患者さんがいますが、実際にそうした事件に至ることはほとんどありません。

ただ、思春期にある青年は、思春期自体の精神の衝動的な不安定さから、環境に適応できないと、反社会的な行為や攻撃的な行為をおこしてしまうことがあります。

違法行為をおこす精神疾患

行為の障害を症状とする患者は、適応障害以外にも次のような障害(病気)があり、それらは適応障害と併発することもあります。

反社会性パーソナリティ障害

違法・迷惑行為は行為障害と同じだが、18歳以上に適応される医学的な名称。

適応障害に併発する場合は女性が多い。

行為障害(素行障害)

主に思春期の青年が、反社会的、攻撃的、暴力的な行為を繰り返す。

いわゆる「非行」にあたる。

双極性障害

躁の状態のときは気が大きくなり、気分が高揚して、違法・迷惑行為や破壊的な行為をすることがある。

特定不能のタイプの適応障害

肩こりや頭痛、疲労感など身体症状を主に訴えたり、ひきこもりが主な症状であるタイプの適応所外です。

統合失調症の前ぶれとしてあらわれている症状を、特定タイプの適応障害と診断されることも少なくありません。

◆この記事は、医療法人和楽会理事長、貝谷久宣先生執筆・監修の「適応障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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