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社会復帰は焦らないことが大切?統合失調症の治療について

幻覚や幻聴、妄想といった統合失調症の陽性症状は、病気の初期に起こりやすいものです。

やる気がない、ひきこもる、といった陰性症状は、陽性症状がおさまってきた後におこりやすく、長引くのが特徴です。

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本人の元気がなくなってきたり、意欲を失ってふさぎ込んだ様子を長い間近くで見ていることは、患者の家族にとってもつらいものです。

何とか元気を出してもらいたいと思うあまり、いつまでも家にいることにイライラしてしまったり、アルバイトなどの社会復帰をすすめる家族もいます。

しかし、元気がないのは本人が悪いからではなく、病気のせいであることを理解しましょう。

本人のしんどい状況を早くなんとかしたい、と焦ってしまう家族が多いのですが、症状の改善をじっくり待つ気持ちも必要です。

意欲の低下、引きこもりなどの陰性症状が目立つときは、外界から自分を守っている状態といえます。

むやみにやたらに社会復帰を急がせると、患者本人の不安感や絶望感を増加させる原因となることもあります。

無理をさせると病状が悪化、不安定になる可能性もでてきます。

社会復帰への意欲が低下している時は無理をせず、安心して過ごせる環境づくりを考えることが大切です。

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・本人の意欲が低下している時は社会復帰をあせらないこと
・統合失調症の陰性症状は長引きやすい傾向がある
・無理にアルバイトすることなどをすすめない

統合失調症の社会復帰のために、地域社会の中でできるリハビリ

人口が密集している都会では、精神障害者のための治療施設が比較的充実しています。

しかし、人口の少ない地方では、まだまだ十分な治療施設があるとはいえないのが現状です。

とはいえ、統合失調症の患者が社会復帰するための資源は、障害者専用の施設だけとは限りません。

地方に住む精神障害者や家族は、社会資源が少ないことを嘆きがちですが、決して悲観することはありません。

地域の中には、スポーツジムやカルチャーセンター、図書館などさまざまな施設があります。

作業所や社会復帰施設に通わなくても、ボランティア活動や、短時間のパート・アルバイトをすることで、社会復帰へのリハビリテーションとすることもできます。

むしろ、障害者専用ではなく、一般の施設を活用することで、社会の中に踏みどまることが可能になるメリットもあります。

病気であることを理由に、健康な人が利用する施設や仕事に消極的になることはありません。

各市町村などお住まいの地域にある公共施設などを活用しましょう。

◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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