41番〜50番 百人一首の意味/解説/読み方一覧

41〜50番の百人一首の歌について、それぞれの歌に込められた意味・解説・翻訳・読み方をまとめてみたいと思います。

41 恋すてふ〜(読み方・意味・解説)

41 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか 「壬生忠見」

この歌は、壬生忠見(みぶのただみ)が詠んだ歌ですね。

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【読み方】
こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか

【意味】
私があなたに恋をしているという噂がこんなに早くに立ってしまった。誰にも知られないように、心の中であなたのことを思い始めたばかりなのに。

【解説】
この歌は、「歌合(うたあわせ)」という、どちらの歌が良い歌かを決める勝負で、残念ながら40番の「忍ぶれど〜」の歌に負けてしまった歌です。

42 契りきな〜(読み方・意味・解説)

42 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは 「清原元輔」

清原元輔(きよはらもとすけ)が詠んだ歌ですね。

【読み方】
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは

【意味】
あなたと約束をしましたよね。お互いに涙でぬれる衣の袖を何度もしぼりながら。あの末の松山を波が越えることがないのと同じように、私たちの愛も決して変わらないと。

【解説】
「あの愛の約束を忘れるなんてひどい!」という気持ちが込められた歌。「ぜったいにありえないこと」を、山を越えない波にたとえて表現している。

43 逢ひ見ての〜(読み方・意味・解説)

43 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり 「権中納言敦忠」

権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)が詠んだ恋の歌ですね。

【読み方】
あひみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり

【意味】
あなたと男女の仲になってから、より恋しい思いが強くなって苦しくなってしまった。それに比べたら、片思いをしていた時のつらさなんて、ないものと同じようなものだった。

【解説】
「片思いより、両想いになってからの方がつらい」と、両想いになって、ますます相手のことを好きになり、会えない時間がいっそうつらい気持ちを歌に詠んでいます。

44 逢ふことの〜(読み方・意味・解説)

44 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし 「中納言朝忠」

中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)の恋の歌ですね。

【読み方】
あふことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし

【意味】
あなたとこんな風に恋人同士にならなかったら。あなたの冷たさを恨んだり、自分のつらさをこんなにも恨むことはなかったのに。

【解説】
「お付き合いをしていなければ、こんなに苦しい思いはしなかったのに」という思いが込められている歌。「人」は相手のこと、「身」は自分のことを意味しています。

45 あはれとも〜(読み方・意味・解説)

45 あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな 「謙徳公」

謙徳公(けんとくこう)の恋の歌ですね。

【読み方】
あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな

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【意味】
あなたにつれなくされている私のことを可哀想と同情してくれる人は、誰も思い浮かばない。あなたを恋しく思いながら、私はこのままむなしく死んでしまうのでしょう。

【解説】
「誰も同情してくれない、この恋で死んでしまう」と、死にそうになるくらい好きになった恋心を詠った歌。

46 由良のとを〜(読み方・意味・解説)

46 由良のとを 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな 「曾禰好忠」

曾禰好忠(そねのよしただ)が詠んだ恋の歌ですね。

【読み方】
ゆらのとを わたるふなびと かぢをたえ ゆくへもしらぬ こひのみちかな

【意味】
波の高い由良の海峡で、船をこぐ「かい」をなくして漂っている舟人のように、私の恋もどこに流されていくのか、先がわからなくて不安です。

【解説】
「私の恋も、あの舟のように流されてしまう」と、遠い海で流される舟のイメージから、自分の恋心を表現している。

47 八重葎〜(読み方・意味・解説)

47 八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり 「恵慶法師」

【読み方】
やへむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり

【意味】
むぐら(雑草)が何重にも生い茂っているこのさみしい宿には、誰一人として訪ねてこないのに、秋だけはちゃんとやってきてくれる。

【解説】
「こんなにさびしい場所にも秋は来る、いいものだな」と、さみしい宿にさみしい秋が来るというのには趣がある、という意味の歌。

48 風をいたみ〜(読み方・意味・解説)

48 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころか 「源重之」

源重之(みなもとのしげゆき)の恋の歌ですね。

【読み方】
かぜをいたみ いはうつなみの おのれのみ くだけてものを おもふころかな

【意味】
風が激しくて岩に打ちつける波がくだけ散ってしまうように、私だけが心がくだけ散るほどに、あなたへの恋に思い悩むこの頃です。

【解説】
「物を思う」は「あなたとの恋に思い悩む」という意味。波がくだけ散る姿に、自分の恋心のつらさを表現している。

49 みかきもり〜(読み方・意味・解説)

49 みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ 「大中臣能宣」

大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶあそん)の恋の歌ですね。

【読み方】
みかきもり ゑじのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ

【意味】
宮中の門を守る兵士がたくかがり火が、夜には燃えて昼には消えるように、私の恋も夜には燃え、昼には思い悩んで消えてしまいます。

【解説】
暗い夜に、男が女の家に忍び込むのが当時のデート。昼間には会うことができなかった。そのことを「かがり火」に例えている。

50 君がため〜(読み方・意味・解説)

50 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな 「藤原義孝」

藤原義孝(ふじわらのよしたか)の恋の歌ですね。

【読み方】
きみがため をしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな

【意味】
付き合う前は、あなたに会えるなら死んでもいいと思っていたのに、恋人どうしになれた今では、長生きをして一緒にいたいと思うようになった。

【解説】
作者の藤原義孝は、21歳の若さで亡くなった人。この歌にこめられた「長生きしたい、あなたとずっと一緒にいたい」という気持ちが伝わってきます。

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