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境界性人格障害と診断される患者人数は増加しているのか?

近年、境界性人格障害/境界性パーソナリティ障害という病気を耳にする機会が増加しているように感じます。

ひと昔前に比べると、境界性人格障害と診断される患者数は増加してきているのでしょうか。

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増えてきているとすれば、どんな理由、要因が考えられるのでしょうか。

境界性人格障害という病気はいつからはじまったのか?

境界性人格障害が注目されるようになったのは1970年代からのことです。

それ以前と比べると、確かに境界性人格障害を診断される人数は増えていますが、近年になって急激に患者数が増えているというわけではありません。

この境界性人格障害/境界性パーソナリティは、パーソナリティ障害の一種なのでパーソナリティ障害全般の診断基準を満たした上で、その人が境界性にあてはまるかどうかの診断になります。

こうした診断基準に100%ぴったりと当てはまるような典型的な患者さんが増えているわけではありません。

境界性人格障害と診断されず誤診されることも

また、境界性人格障害の主な症状や特徴を持っている人であっても、境界性人格障害と診断されない場合もあります。

その中には、一部の症状から「うつ病」と診断されたり、「境界性人格障害」という診断を受けていない人も少なくありません。

極端にいえば誤診ということになりますが、精神疾患、精神病の領域においては、似たような症状を持つ病気も多く、どの病気か診断するのが難しいケースが少なくありません。

また、境界性人格障害の病気について専門的ではなく、あまり詳しくない医師の場合、正確な診断ができないことも少なくありません。

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それだけ心の病気については診断が難しいときが多いといえます。

とはいっても、現在の日本では、この境界性人格障害の症状に近い人は、とても多く存在すると考えられています。

誤診されずに「境界性人格障害」と正しく診断されることも大切ですが、それ以上に大切なのは、このような病気によって生きづらさを感じてる人たちが、ひとりでも多く、通院、治療などによって病気を治し、克服して、自分らしい人生を取り戻してもらうことです。

パーソナリティ障害の全般的診断基準

A.その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験及び行動の持続的様式。この様式は以下の領域の2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。
(1)認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
(2)感情性(すわなち、情動反応の範囲、強さ、不安定性、および適切さ)
(3)対人関係機能
(4)衝動の制御
B.その持続的様式は柔軟性がなく、個人敵及び社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
C.その持続的様式が、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D.その様式は安定し、長期間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。
E.その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。
F.その持続的様式は、物質(例:乱用薬物、投薬)または一般身体疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理学的作用によるものではない。
【DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引き 新訂版】

◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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