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なぜ、境界性人格障害だと恋愛や人間関係がうまくいかないのか?

境界性人格障害/ボーダーライン症候群の人は、恋愛や友人、職場や学校などでの人間関係がうまくいかず、思い悩んでいるケースが多いものです。

なぜ、境界性人格障害/ボーダーライン症候群だと、恋愛関係や人間関係がうまくいかないのでしょうか。境界性人格障害/ボーダーライン症候群の症状や特徴と、どんな関係があるのでしょうか。

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境界性人格障害が人間関係をうまく築けない理由とは?

なぜ、境界性人格障害/ボーダーライン症候群だと、恋愛関係や人間関係でトラブルや問題が多くなるのでしょうか。

その大きな理由は、極端な思考や考え方「二極思考」にあります。

境界性人格障害/ボーダーラインの人たちは、少しのすれ違いでも極端に解釈してしまい「相手に見捨てられた」と思い込む特徴があります。

自分から人間関係を壊してしまいがちな境界性人格障/ボーダーラインの人たちですが、「見捨てられたくない」という強い思いが、かえって人間関係のトラブルとなる行動になってしまうのです。

見捨てられたくない、という強い気持ち

境界性人格障害の人たちは、家族との家族関係、友人や知人との人間関係、恋人との恋愛関係など、どんな人間関係でも、心の底には「この人に見捨てられるのではないか」という不安や恐怖が常にあります。

こういった相手への信頼度に欠ける人間関係は、なかなかうまくいかないものになります。

例えば、医師の「元気になってきたね」という言葉に対しても、「もう私は治療の必要はないと見捨てる気か!」と激しく怒ることもあるくらいです。

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見捨てられる不安や恐怖からくる問題行動

相手とのすれ違い、意見の違い、口論、といったすべてのことが不安に結びつき、相手と少し食い違う点があると見捨てられるのではという不安が表面化し、様々な問題行動にあらわれるようになります。

自傷行為、リストカット、暴力(DV)など、相手が手を差し伸べずにはいられないようなことをして相手の気をひいたり、不安や恐怖から逃れるために衝動的な行動をしたりすることもよくみられます。

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→自傷行為やリストカットをする原因、理由は何?どんな心理状態なの?

境界性人格障害はわがままな子どもみたい?

幼い子どもは、母親の姿が見えなくなり、自分が置き去りにされたと思うと泣きわめきます。

私たち人間にとって一番つらいのは、相手から見捨てられることなのです。

境界性人格障害の人が、見捨てられるのではないかと感じた時にみせる感情反応や行動は、ちょうど母親に置き去りにされた子どもと同じようなものです。

「確かな自分」がいない境界性人格障害の人は、まわりの働きかけなしに、自分の存在を実感できません。見捨てられ、ひとりにされるのは、自分の存在を揺るがすような耐えがたいことなのです。

だから、相手の言動にひどく敏感になったり、激しい不安を解消するために無謀な行動に出たりするのです。

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通常の発達の流れ

母子一体の状態

母親から離れ、自主的に行動できるようになる

仲間との付き合いを通じて「確かな自分」をみつけていく

境界性人格障害の人の場合

【自分で自分がわからない】
これまでの人生において、どこかにつまづきがあり「確かな自分」がみつからない。

【対象との一体感を高める】
自分の存在を確認したいがために、母親や恋人など、身近な存在である対象への一体感を強く求める。
一体感を求め、なりふりかまわぬ行動にでることも。(性依存、セックス依存もこれにあたる)

【現実の問題】
期待はずれの相手の言動に直面し、一体感が損なわれる。

【見捨てられる不安】
見放される、ひとりになるという不安や恐怖がでてくる。

【対象との一体感を高める】

【現実の問題】

【見捨てられる不安】

※この一連の流れを繰り返す

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境界性人格障害だと一人が耐えられなくて依存する?

一人の時間を楽しむのは、他の誰でもない自分、という揺るぎない確信があればこそできることです。

その確信を得られないとき「ひとりぼっち」は耐えがたい恐怖でしかありません。

ですので、境界性人格障害の人にとって「ひとりぼっち」は耐えられないこととなり、恋愛関係でも相手に依存することが多くなってしまいます。

その理由として考えられるのは、幼い頃に味わった母親が離れてしまうという不安を克服できないこともひとつの理由かもしれません。

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見捨てられたという感情が生む7つの反応

相手に見捨てられたという思いがもたらす感情は破壊的です。

・自分を見捨てた対象への怒り
・見捨てられたことへの絶望
・不安
・孤立無援感
・自暴自棄の感情
・何をやってもムダという空虚感
・抑うつ

こうした7つの感情反応を、精神分析医のマーラーは新約聖書になぞられて、災厄をもたらす「黙示録の7人の騎士」と呼びました。

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◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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