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高齢者のうつ病の特徴、原因とは?

心身の両面で老化を意識するようになる高齢者は、こころの余裕を失いがちになるだけでなく、うつ病の引き金になる喪失体験の機会が増えます。

老化や喪失体験からうつ病を招きやすい高齢者

どれほど健康な人でも、心身の老化は避けられません。

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60代を過ぎるころから、体力の衰えや視覚、聴覚といった感覚器官の機能の低下を意識するようになります。

今まで何気なくできていた身辺のことに困難を覚えるようになり、先々への不安や焦りの原因となります。

また、老化に伴ってストレスの耐える力も弱まってきます。

このため、ささいなきっかけで精神的なバランスが崩れやすくなります。

また、会社勤めをしていた人は定年を迎え、地位や報酬、同僚とのつながりを失います。

さらに妻や夫と言った近親者や知人の死を体験するなど、老年期を迎えるようになると、大切なものを失い空虚感に襲われる機会も多くなります。

心身の老化と喪失体験という大きなストレスをきっかけとして、老年期はうつ病を引き起こしやすくなります。

老年期のうつ病の特徴

老年期のうつ病には、憂うつ感やおっくう感はあまり目立たず、イライラや不安、焦燥感が前面に出てくると言う特徴があります。

老年期のうつ病の行動面での特徴は、ソワソワと落ち着きが泣く、じっとしていられないことが多くなります。

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検査で異常がなくても、病気ではないかと心配する心気症な症状が現れる場合もあります。

老年期うつ病では、漠然とした不安をかかえる場合が多く、そうした不安が微小妄想として症状に現れることもあります。

家族や親しい人が聞き手になってあげることで、落ち着くこともあります。

しかし改善しなければ、できるだけ早く専門医を受診しましょう。

老年期のうつ病では、孤独感や悲観的な考えから自殺をはかるケースが多く見られるので注意が必要です。

老年期を迎える高齢者のうつ病の原因

老年期の心身の変化に、喪失体験、空虚感、将来への不安、孤独感などが加わって、うつ病が発症するおそれが増大します。

【身体の変化】
老眼や耳が遠くなるなど感覚器官の機能低下

【脳の変化】
物忘れ、認知症

【内科的な病気】
高血圧症や糖尿病などの生活習慣病

【外科的な病気】
腰痛や関節痛、骨粗しょう症など

高齢者のうつ病のサイン

・落ち着きがなく、そわそわしてじっとしていられない
・身体の不調(痛み、しびれ、胃や胸部の不快感など)をしつこく訴える
・家族や周囲の人に不平、不満を頻繁にこぼす
・ガンなどの病気にかかっているのではないかと過剰に心配し、診察で異常がないと言われても心配がおさまらない
・「とんでもない悪いことをしてしまった」「(実際はあるのに
)お金がないから治療を受けられない」といった微小妄想がある

◆この記事は、赤坂診療所所長、精神保健指定医、渡辺登先生執筆・監修の「これでわかるうつのすべて(成美堂出版)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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